関東フラグメント

関東フラグメントの推定位置

関東フラグメント(かんとうフラグメント、: Kanto fragment)は、太平洋プレートの断片が関東地方地下に存在しているとの仮説に基づくプレート構造である[1][2]

概説

関東付近は、ユーラシアプレート(若しくはアムールプレート)の下に、西北西に向かうフィリピン海プレートが沈み込み、さらに北西に向かう太平洋プレートが沈み込んでいると考えられている。仮説によれば、関東フラグメントはおよそ200〜300万年前に太平洋プレート上の海嶺がプレートの下に沈みこもうとした際に、抵抗が増大して太平洋プレートが破断して生じたプレートの断片とされる。関東直下の栃木県南部から神奈川県北部までの地域の深さ30〜100km付近に、厚さ25km、100km四方にわたって存在しているとされる。現在は太平洋プレートがこの断片の下にさらに沈みこもうとしており、関東直下は4層のプレート構造を成していることになる。

プレート境界が多いため、このような地域の直下では地震が頻発すると説明されている。さらに、このプレート断片は陸化した地域の直下にあるが下部にプレート境界が存在するため、比較的規模の大きいプレート間地震(海溝型地震)が直下型地震として発生することになる。仮説では、1855年安政江戸地震もこのタイプの地震だったと推定している。今後懸念される首都直下地震が、このようなタイプの地震として発生する可能性が指摘されている[3][4]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 遠田晋次 (2005年6月10日). “関東直下の新しいプレート構造の提案”. 主な研究成果. 産業技術総合研究所. 2021年10月10日閲覧。
  2. ^ 遠田晋次; ロス・スタイン、ステファン・カービー、サルカン・ボズクルト (2008年10月10日). “首都圏直下に潜むプレートの断片と地震発生”. 主な研究成果. 産業技術総合研究所. 2021年10月10日閲覧。
  3. ^ 関東直下に「地震の巣」…100キロ四方の巨大岩盤が形成 [リンク切れ] 読売新聞 2008年10月6日
  4. ^ Shinji Toda(遠田晋次); Ross S. Stein(ロス・スタイン), Stephen H. Kirby(ステファン・カービー), Serkan B. Bozkurt(サルカン・ボズクルト) (11 2008). “A slab fragment wedged under Tokyo and its tectonic and seismic implications(東京直下に潜むプレート断片と地殻変動・地震発生における重要性)”. Nature Geoscience 1: 771 - 776. doi:10.1038/ngeo318. ISSN 1752-0894. 

参考文献

  • 遠田晋次「関東の地震テクトニクス再考:新しいプレート構造の提案」(PDF)『地球惑星科学関連学会2005年合同大会予稿集』、地球惑星科学合同大会運営機構、2005年。 

関連項目

外部リンク

理論
地球の構造
プレート境界
地殻変動
 
プレート
ユーラシア
フィリピン海
太平洋
北アメリカ
カリブ
ココス
南アメリカ
ナスカ
南極
  • -
アフリカ
アラビア
  • -
インド・オーストラリア
埋没プレート
  • アプリア
  • エクスプローラー
  • ゴルダ
  • カプリコーン
 
トピックス
超大陸
古海洋
古期地殻変動
主要なプレート境界
Category:プレートテクトニクス/プロジェクト:地球科学/Portal:地球科学
日本の地質
地殻
プレート
プレート境界
断層構造線
海溝
地溝帯
構造線
歪集中帯
地質
構造帯地層
  • 渡島帯
  • 礼文・樺戸帯
  • 空知・蝦夷帯
  • 日高帯
  • 常呂帯
  • 根室帯
  • 上越帯
  • 足尾・八溝帯
  • 阿武隈帯
  • 南部北上帯
  • 北部北上帯
  • 丹沢帯
  • 隠岐帯
  • 飛騨帯
  • 飛騨外縁帯
  • 三郡帯
  • 秋吉帯
  • 舞鶴帯
  • 超丹波帯
  • 丹波帯
  • 美濃帯
  • 領家帯
  • 三波川帯
  • 秩父帯
  • 黒瀬川帯
  • 四万十帯
  • 対馬帯
  • 西彼杵帯
  • 八重山層群
  • 宮良層群
  • 島尻層群
  • 琉球層群
考え方
島弧
一覧
カテゴリCategory:日本の地形
  • 表示
  • 編集