イングランディーレ

イングランディーレ
2003年天皇賞(春)
欧字表記 Ingrandire
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1999年5月21日
死没 2020年12月12日(21歳没)[1]
抹消日 2006年9月29日
ホワイトマズル
マリリンモモコ
母の父 リアルシャダイ
生国 日本北海道千歳市
生産者 社台ファーム
馬主 種田恵志→吉田千津
調教師 清水美波(美浦
競走成績
生涯成績 33戦8勝(うち中央競馬26戦6勝)
獲得賞金 3億645万3000円
勝ち鞍
GI 天皇賞(春) 2004年
GII 日経賞 2003年
GII ブリーダーズGC 2003年
GIII ダイヤモンドS 2003年
GIII 白山大賞典 2003年
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イングランディーレ(欧字名:Ingrandire、1999年5月21日 - 2020年12月12日)とは日本競走馬である。2004年天皇賞(春)を勝利した。また、天皇賞(春)のモデルとなったアスコットゴールドカップにも出走した。

戦績

2-4歳 (2001年-2003年)

デビューは2歳の夏。当初はダートを主体に使われていた。3歳の終わりに格上挑戦ながらステイヤーズステークスに出走しホットシークレットの4着に食い込む。自己条件6着のあと、ダイヤモンドステークス(GIII)東京競馬場のスタンド増設工事の影響により中山競馬場で施行)に出走する。8番人気という低評価であったが、雨で緩んだ馬場と52kgの軽いハンデキャップを活かして逃げ切り勝ちをおさめ、重賞初制覇となる。これが芝での初勝利であった。さらに日経賞(GII)でも、4コーナーで先頭に立つとバランスオブゲーム以下を押し切り重賞を連勝する。

迎えた天皇賞(春)で、フルゲート18頭中5番人気に支持されるが、ヒシミラクルの激走の前に9着に敗れる。その後は再びダート路線へ。ブリーダーズゴールドカップ(GIII)、白山大賞典(GIII)を連勝するもJBCクラシックではアドマイヤドンにかなわず6着に敗れている。その後も、ステイヤーズステークス4着、名古屋グランプリ5着と勝ち切れなかった。

5歳 (2004年)

2004年は船橋競馬場で行われたダイオライト記念に出走し、不良馬場の中、2着に入る。次走の天皇賞(春)(GI)では他にも有力馬が多く10番人気に過ぎなかった。ゲートが開くと、鞍上の横山典弘は押して先頭に立ち、逃げを打つ。一時は20馬身を超えるリードを作った逃げであったが、ネオユニヴァースゼンノロブロイ、リンカーンといった差し馬が揃っており、どの馬も牽制しあってイングランディーレに誰も鈴を付けに行かないままレースは進んでいった。さすがに直線では脚色が鈍ったものの、そのまま2着ゼンノロブロイに7馬身差をつけて逃げ切った。鞍上の横山は、同じ京都競馬場のGI菊花賞セイウンスカイで逃げ切った実績があり、好騎乗が光る競走となった。レース後の勝利ジョッキーインタビューでは「セイウンスカイに乗っているようでした」と語っていた。当時地上波のテレビ実況を担当していた馬場鉄志アナウンサーが「イングランディーレの一人旅」と形容した快心のレースだった。

引退まで

その後、イギリスアスコット競馬場に遠征してアスコットゴールドカップに出走するも、天皇賞のようにレースを作って行く事ができず、9着に敗れてしまう。日本に帰国し、ブリーダーズゴールドカップ2着の後、左前浅屈腱炎を発症。1年3ヶ月の休養の後2005年11月5日に復帰した。休養期間が長すぎた為に規定でハンデキャップ競走アルゼンチン共和国杯に使えずカシオペアステークスを復帰戦にするも、62kgという酷量や長期休養などが響き、最下位に敗れてしまった。続くステイヤーズステークスも10着と大敗し、休養に入る。復帰は2006年8月5日のみなみ北海道ステークス。そのレースで3着と健闘し、続いてブリーダーズゴールドカップに出走した。3年前に勝利したこのレースでの復活勝利が期待され3番人気まで推されたが結果は6着に敗れた。その後、脚部不安で9月29日登録を抹消された[2]

引退後

引退後はエアスマップと共に韓国の金岳(クムアク)牧場で種牡馬になることが決定した。産駒には2012年のコリアンダービー優勝馬チグミスンガンがいる。チグミスンガンは競走馬引退後韓国で種牡馬入りし、イングランディーレにとっても初の後継種牡馬となった。

2020年12月12日午後、老衰のため、繋養先の韓国・済州島の金岳牧場で死亡した。21歳没[1][3]

競走成績

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上がり3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2001.08.11 新潟 2歳新馬 ダ1200m(良) 14 7 11 004.20(2人) 03着 R1:14.9(38.7) -0.2 0柴田善臣 53 ステラファンタジー 476
0000.09.01 新潟 2歳新馬 ダ1200m(稍) 14 1 1 002.70(1人) 02着 R1:13.9(37.2) -0.2 0柴田善臣 53 スターレッド 484
0000.09.15 中山 2歳未勝利 芝1600m(良) 14 4 5 002.50(1人) 08着 R1:36.7(38.0) -1.7 0木幡初広 53 トーセンサクシード 484
0000.10.07 東京 2歳未勝利 ダ1200m(良) 11 8 10 001.20(1人) 01着 R1:13.8(36.9) -0.6 0柴田善臣 53 (ヒシドリーム) 484
0000.10.27 東京 プラタナス賞 500万下 ダ1400m(良) 14 4 5 080.9(11人) 05着 R1:25.8(37.6) -1.0 0田面木博公 53 シベリアンメドウ 486
0000.12.08 中京 樅の木賞 500万下 ダ1700m(良) 16 7 14 009.60(5人) 04着 R1:49.5(38.8) -1.2 0中館英二 54 ワンダーハーブ 488
2002.01.12 東京 黒竹賞 500万下 ダ1600m(良) 14 7 6 031.10(7人) 06着 R1:39.4(38.4) -1.2 0中館英二 55 カイトヒルウインド 492
0000.02.10 東京 3歳500万下 ダ1600m(良) 16 6 11 005.50(3人) 05着 R1:40.0(39.3) -1.7 0北村宏司 55 インターコウキ 480
0000.03.10 中山 3歳500万下 ダ1800m(良) 14 2 2 005.40(2人) 01着 R1:54.7(39.1) -0.0 0O.ペリエ 55 (マイネルプロスパー) 486
0000.03.31 中山 伏竜S OP ダ1800m(良) 9 4 4 040.40(9人) 04着 R1:53.9(38.9) -0.9 0中館英二 55 ディーエスサンダー 486
0000.04.27 東京 青葉賞 GII 芝2400m(良) 18 8 18 167.0(18人) 13着 R2:28.3(35.3) -1.9 0吉田豊 56 シンボリクリスエス 486
0000.05.19 中京 昇竜S OP ダ1700m(重) 15 1 1 059.4(11人) 04着 R1:44.8(37.8) -0.2 0小林久晃 55 クーリンガー 486
0000.06.01 東京 ユニコーンS GIII ダ1600m(良) 16 6 11 087.9(12人) 13着 R1:38.3(38.3) -1.9 0小林久晃 55 ヒミツヘイキ 486
0000.10.20 中山 3歳上1000万下 ダ1800m(稍) 14 3 4 015.60(6人) 04着 R1:55.4(40.2) -1.4 0江田照男 55 カイトヒルウインド 506
0000.11.02 中山 3歳上1000万下 ダ1800m(良) 12 8 11 005.90(2人) 06着 R1:54.7(39.9) -0.6 0江田照男 55 クロウト 508
0000.11.17 中山 3歳上1000万下 ダ1800m(良) 12 6 9 016.70(6人) 01着 R1:54.7(38.5) -0.0 0小林淳一 55 (スズカツヨシ) 510
0000.11.30 中山 ステイヤーズS GII 芝3600m(良) 11 7 9 053.20(9人) 04着 R3:45.8(35.1) -0.2 0小林淳一 55 ホットシークレット 508
2003.01.25 中山 アレキサンドライトS 1600万下 ダ1800m(稍) 16 2 4 027.40(8人) 06着 R1:54.8(39.7) -1.0 0小林淳一 55 ディーエスサンダー 520
0000.02.16 中山 ダイヤモンドS GIII 芝3200m(稍) 13 3 3 022.40(8人) 01着 R3:23.7(37.5) -0.2 0小林淳一 52 (ハッピールック) 516
0000.03.29 中山 日経賞 GII 芝2500m(良) 10 7 8 016.80(5人) 01着 R2:31.3(36.1) -0.2 0小林淳一 56 バランスオブゲーム 516
0000.05.04 京都 天皇賞・春 GI 芝3200m(良) 18 2 3 012.80(5人) 09着 R3:18.1(37.0) -1.1 0小林淳一 58 ヒシミラクル 508
0000.08.14 旭川 ブリーダーズGC GII ダ2300m(不) 11 3 3 00 - 00(2人) 01着 R2:30.7 -0.7 0五十嵐冬樹 57 (ディーエスサンダー) 504
0000.10.12 金沢 白山大賞典 GIII ダ2100m(重) 11 6 6 00 - 00(1人) 01着 R2:14.6 -1.3 0安藤勝己 58 (ハギノハイグレイド) 507
0000.11.03 大井 JBCクラシック GI ダ2000m(良) 15 4 7 00 - 00(4人) 06着 R2:06.2(39.4) -1.9 0M.デムーロ 58 アドマイヤドン 512
0000.12.06 中山 ステイヤーズS GII 芝3600m(良) 10 6 6 003.90(2人) 04着 R3:48.6(35.5) -0.4 0小林淳一 58 チャクラ 516
0000.12.23 名古屋 名古屋グランプリ GII ダ2500m(重) 12 4 4 00 - 00(1人) 05着 R2:42.3 -1.0 0安藤勝己 57 リージェントブラフ 504
2004.03.24 船橋 ダイオライト記念 GII ダ2400m(不) 14 6 9 00 - 00(4人) 02着 R2:31.2(39.5) -1.0 0蛯名正義 56 ミツアキタービン 521
0000.05.04 京都 天皇賞・春 GI 芝3200m(良) 18 3 6 071.0(10人) 01着 R3:18.4(36.1) -1.1 0横山典弘 58 (ゼンノロブロイ) 518
0000.06.17 アスコット ゴールドカップ GI 芝4000m(良) 13 6 00 - 00 09着 0横山典弘 58 Papineau 計不
0000.08.12 旭川 ブリーダーズGC GII ダ2300m(良) 9 5 5 00 - 00(1人) 02着 R2:31.7 -0.3 0五十嵐冬樹 58 タイムパラドックス 508
2005.11.05 京都 カシオペアS OP 芝1800m(良) 12 5 6 015.80(8人) 12着 R1:48.5(35.1) -2.4 0O.ペリエ 62 アサカディフィート 514
0000.12.03 中山 ステイヤーズS GII 芝3600m(良) 11 5 5 016.60(5人) 10着 R3:50.6(37.5) -2.9 0柴田善臣 58 デルタブルース 518
2006.08.05 函館 みなみ北海道S OP 芝2600m(良) 15 1 1 012.50(6人) 03着 R2:43.0(37.6) -0.7 0安藤勝己 58 ファストタテヤマ 516
0000.08.17 旭川 ブリーダーズGC GII ダ2300m(良) 12 7 11 004.00(3人) 06着 R2:34.3(43.2) -3.3 0五十嵐冬樹 58 ハードクリスタル 516

主な産駒

  • 2009年産
  • 2010年産
  • 2012年産
    • コスモスキング / Cosmos King / 코스모스킹(2014年果川市長杯)
  • 2013年産
    • コムビッガンジャ / Geombit Gangja / 검빛강자 (2017年スポーツ朝鮮杯)

血統表

イングランディーレ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 リファール系
[§ 2]

*ホワイトマズル
White Muzzle
1990 鹿毛
父の父
*ダンシングブレーヴ
Dancing Brave
1983 鹿毛
Lyphard Northern Dancer
Goofed
Navajo Princess Drone
Olmac
父の母
Fair of the Furze
1982 鹿毛
Ela-Mana-Mou *ピットカーン
Rose Bertin
Autocratic Tyrant
Flight Table

マリリンモモコ
1986 栗毛
*リアルシャダイ
Real Shadai
1979 黒鹿毛
Roberto Hail to Reason
Bramalea
Desert Vixen In Reality
Desert Trial
母の母
ピーチクリアー
1979 栗毛
*ノーザンテースト
Northern Taste
Northern Dancer
Lady Victoria
シャダイクリアー *ガーサント
ペルルビーチ
母系(F-No.) クヰツクランチ系(FN:4-r) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 4×4 = 12.50% [§ 4]
出典
  1. ^ [5]
  2. ^ [6]
  3. ^ [5]
  4. ^ [5][6]

脚注

  1. ^ a b “イングランディーレ死ぬ 04年天皇賞・春大逃げV”. ニッカン・極ウマ. 日刊スポーツ新聞社. (2020年12月14日). https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202012140000901&year=2020&month=12&day=14 2020年12月14日閲覧。 
  2. ^ “イングランディーレが引退、種牡馬へ”. ラジオNIKKEI. 2022年3月12日閲覧。
  3. ^ “イングランディーレ死す…04年天皇賞・春10番人気Vなど重賞5勝”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. (2020年12月14日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2020/12/14/kiji/20201214s00004048050000c.html 2020年12月14日閲覧。 
  4. ^ “`지금이순간', 제주특별자치도지사배 우승 [`チグミスンガン', 済州特別自治道杯優勝]” (朝鮮語). news1.kr. (2013年6月30日). http://news1.kr/articles/1206351 2013年8月1日閲覧。 
  5. ^ a b c “血統情報:5代血統表|イングランディーレ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月26日閲覧。
  6. ^ a b “イングランディーレの血統表”. netkeiba.com. 株式会社ネットドリーマーズ. 2020年5月26日閲覧。

外部リンク

  • 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、KEIBA.GO.JP、JBISサーチ、Racing Post
   

国際競走指定前:
002回(1938年) ハセパーク
004回(1939年) スゲヌマ
006回(1940年) トキノチカラ
008回(1941年) マルタケ
010回(1942年) ミナミモア
012回(1943年) グランドライト
014回(1944年) ヒロサクラ
015回(1947年) オーライト
017回(1948年) シーマー
019回(1949年) ミハルオー
021回(1950年) オーエンス
023回(1951年) タカクラヤマ
025回(1952年) ミツハタ
027回(1953年) レダ
029回(1954年) ハクリヨウ
031回(1955年) タカオー
033回(1956年) メイヂヒカリ
035回(1957年) キタノオー
037回(1958年) オンワードゼア
039回(1959年) トサオー
041回(1960年) クリペロ
043回(1961年) ヤマニンモアー
045回(1962年) オンスロート
047回(1963年) コレヒサ
049回(1964年) ヒカルポーラ
051回(1965年) アサホコ
053回(1966年) ハクズイコウ
055回(1967年) スピードシンボリ
057回(1968年) ヒカルタカイ

059回(1969年) タケシバオー
061回(1970年) リキエイカン
063回(1971年) メジロムサシ
065回(1972年) ベルワイド
067回(1973年) タイテエム
069回(1974年) タケホープ
071回(1975年) イチフジイサミ
073回(1976年) エリモジョージ
075回(1977年) テンポイント
077回(1978年) グリーングラス
079回(1979年) カシュウチカラ
081回(1980年) ニチドウタロー
083回(1981年) カツラノハイセイコ
085回(1982年) モンテプリンス
087回(1983年) アンバーシャダイ
089回(1984年) モンテファスト
091回(1985年) シンボリルドルフ
093回(1986年) クシロキング
095回(1987年) ミホシンザン
097回(1988年) タマモクロス
099回(1989年) イナリワン
第101回(1990年) スーパークリーク
第103回(1991年) メジロマックイーン
第105回(1992年) メジロマックイーン
第107回(1993年) ライスシャワー
第109回(1994年) ビワハヤヒデ
第111回(1995年) ライスシャワー
第113回(1996年) サクラローレル
第115回(1997年) マヤノトップガン
第117回(1998年) メジロブライト

第119回(1999年) スペシャルウィーク
第121回(2000年) テイエムオペラオー
第123回(2001年) テイエムオペラオー
第125回(2002年) マンハッタンカフェ
第127回(2003年) ヒシミラクル
第129回(2004年) イングランディーレ

国際競走指定後:
第131回(2005年) 日本の旗 スズカマンボ
第133回(2006年) 日本の旗 ディープインパクト
第135回(2007年) 日本の旗 メイショウサムソン
第137回(2008年) 日本の旗 アドマイヤジュピタ
第139回(2009年) 日本の旗 マイネルキッツ
第141回(2010年) 日本の旗 ジャガーメイル
第143回(2011年) 日本の旗 ヒルノダムール
第145回(2012年) 日本の旗 ビートブラック
第147回(2013年) 日本の旗 フェノーメノ
第149回(2014年) 日本の旗 フェノーメノ
第151回(2015年) 日本の旗 ゴールドシップ
第153回(2016年) 日本の旗 キタサンブラック
第155回(2017年) 日本の旗 キタサンブラック
第157回(2018年) 日本の旗 レインボーライン
第159回(2019年) 日本の旗 フィエールマン
第161回(2020年) 日本の旗 フィエールマン
第163回(2021年) 日本の旗 ワールドプレミア
第165回(2022年) 日本の旗 タイトルホルダー
第167回(2023年) 日本の旗 ジャスティンパレス
第168回(2024年) 日本の旗 テーオーロイヤル