米酒

オハイオ州クリーブランドで販売された料理用の台湾菸酒公司の米酒

米酒(みーちゅう、びーちゅう)は台湾蒸留酒を原料とし、近年は主に料理酒として用いられている[1]

歴史

米酒の起源は中国南部であり、長年にわたって庶民に愛飲されていた[1]近代には台湾総督府専売局も他の酒類とともに米酒を生産し、1931年には白粬(ぺーか)を使わずクモノスカビ糖化菌として用いる製造方法に切り替えた[1]第二次世界大戦後は台湾省菸酒公売局(中国語版)によって生産が引き継がれ、1988年に花蓮市郊外に移転した酒廠では年間270万ダースの米酒製造能力があった[1]。1997年の時点で600mlのビン入りの米酒が25台湾元(当時の為替レートで約100円)と安価であり、現代では香腸作りなどの料理酒や薬酒の原料として使われる[2][3]

製法

蓬萊米玄米のみを原料とし、塩酸に浸漬させた後に蒸し煮する[4]。冷却後、クモノスカビを糖化菌として39で50時間糖化を行う[4]。この際、先に添加した塩酸は粘度を低下させるとともにpHを調整して糖化を促進する効果がある[4][2]。続いて36°Cまで温度を下げて出芽酵母を加え、7 - 12日間ほどアルコール発酵を行う[4]。この段階でアルコール度数は10.4 - 12.2%となり、これを蒸留する[4]

常圧で単式蒸留して得られた液体を貯蔵し、連続蒸留した留出液を少量調合するとアルコール度数は22%となる[4]ろ過した後、ビン詰めして出荷される[4]。なお、もち米を原料として2回蒸留後に0℃で1週間以上冷却する高級品も存在し、そのアルコール度数は35%となる[2]

なお近代以前は、粳米の粉末で団子を作り、出芽酵母とカビを混ぜた白粬を加えて5 - 6日で糖化および発酵を行っていた[1]。この状態でアルコール度数は8 - 10%となり、単式蒸留器で蒸留すれば米酒が得られた[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f 吉田元 1997, p. 580
  2. ^ a b c 吉田元 1997, p. 582
  3. ^ “畜産の情報 2012年10月号 美味で、多彩な台湾ソーセージ”. 農畜産業振興機構. 2016年1月7日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 吉田元 1997, p. 581

参考文献

  • 吉田元「台湾の米酒、紹興酒、紅露酒」『日本醸造協会誌』第92巻第8号、日本醸造協会、1997年、579-587頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.92.579、NAID 10029395721。 
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