神経核

神経解剖学においてまたは神経核(しんけいかく、:nucleus (pl. nuclei))は中枢神経内で主に灰白質からなり、何らかの神経系の分岐点や中継点となっている神経細胞群のこと。大脳基底核 (basal ganglia) のように、英:ganglion (pl. ganglia) の訳語とする場合もある(ただし末梢における ganglion の訳語は神経節である。英語の basal ganglia は混乱を招きやすいため、近年では basal nuclei という名称が推奨されている)。たとえば外側膝状核哺乳類の視覚系における信号を伝達している。また前庭神経核は、頭部の動きについての情報を集めて、前庭眼反射を通して眼球運動を誘導している。

また縫線核睡眠に関与したり、視交叉上核概日リズムを支配している。ある神経核に投射する軸索は、シナプスにおいて同じ神経伝達物質を分泌する傾向がある。そのためある向精神薬の効果が特定の神経核に集中する。たとえばモルヒネは、弓状核のシナプスに作用すると考えられている。

同じ中枢神経内の灰白質の集合体である皮質に比べ、系統発生的に古くから存在していると考えられてきたが、最近では皮質も古くから(条鰭綱=魚類の頃から)存在しているという説が有力である[1]

脚注

  1. ^ 山本 直之, “大脳“新”皮質は新しいのか?”, 日本比較内分泌学会ニュース, Vol. 2006: 120_13-120_17, (2006) .
頭頚部の神経脳神経とその核
嗅神経 (AON->I)

嗅球・嗅索

視神経 (LGN->II)

視交叉・視索

動眼神経 (ON, EWN->III)

上枝 (毛様体神経節副交感根/毛様体神経節)・下枝

滑車神経 (TN->IV)

(著明な枝はない)

三叉神経 (PSN, TSN, MN, TMN->V)

三叉神経節・眼神経上顎神経下顎神経

外転神経 (AN->VI)

(著明な枝はない)

顔面神経 (FMN, SN, SSN->VII)
起始部付近
顔面神経管

大錐体神経 (翼口蓋神経節)・アブミ骨筋神経・鼓索神経 (舌神経/顎下神経節)

茎乳突孔

後耳介神経・舌骨上筋 (顎二腹筋/茎突舌骨筋)・耳下腺神経叢 (側頭/頬骨/頬筋/下顎/頚)

内耳神経 (VN, CN->VIII)

蝸牛神経 (ラセン神経節 (蝸牛神経節)/第四脳室髄条/外側毛帯)・前庭神経 (スカルパ神経節)

舌咽神経 (NA, ISN, SN->IX)
頚静脈窩の中枢側

神経節 (上神経節/下神経節)

頚静脈窩の末梢側

鼓室神経 (鼓室神経叢/小錐体神経 (耳神経節副交感神経根)/耳神経節)・茎突咽頭筋枝・咽頭枝・扁桃枝・舌枝・頚動脈洞

迷走神経(NA, DNVN, SN->X)
頚静脈窩の中枢側

神経節 (上神経節 (頚静脈神経節)/下神経節 (節状神経節))

頚静脈窩の末梢側

硬膜枝・耳介枝

頚部

咽頭枝 (咽頭神経叢)・上喉頭神経 (外枝/内枝)・反回神経 (下喉頭神経)・上頚心臓枝

胸部

下心臓枝・肺枝 (気管支枝)・迷走神経幹 (前幹/後幹)

腹部

腹腔枝・腎枝・肝枝・前胃枝・後胃枝

副神経 (NA, SAN->XI)

延髄根・脊髄根

舌下神経 (HN->XII)

舌枝

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