琱玉集

琱玉集』(ちょうぎょくしゅう)は代に作られた私撰の類書の一種で、さまざまな書物に見える逸話を分類して配列したものである。

巻12と巻14のみが日本に残る。日本の国宝である。

概要

日本国見在書目録』には15巻とする。『崇文総目』と『通志』芸文略には『琱玉集』20巻と記す[1][2]

著者は明らかでない。作られた年代もはっきりしないが、西野貞治によると7世紀末から8世紀初頭の成立と考えられるという[3]

中国でははやく失われたが、天平19年(747年)に筆写された巻12と巻14の写本を名古屋の真福寺宝生院(大須観音)が所蔵し、国宝に指定されている。戦後長期にわたって東京国立博物館に寄託されていたが、2015年に名古屋に戻った[4]

ほかに敦煌文献の S.2072 は『琱玉集』の残巻であるという[5]

末の『古逸叢書』によって中国でも知られるようになった。日本では影印本が古典保存会から出版されている(1933年)。

構成

巻12 聡慧 壮力 鑑識 感応

巻14 美人 醜人 肥人 痩人 嗜酒 別味 祥瑞 怪異

S.2072 工書 善射 方術 善相 鑑識 鑑卜 占夢 高士 勤学 志節 儒行

脚注

  1. ^ 『崇文総目』 類書類。https://archive.org/stream/06047770.cn#page/n136/mode/2up 
  2. ^ 鄭樵『通志』 巻69・芸文略第7・類書類。https://archive.org/stream/06058599.cn#page/n60/mode/2up 
  3. ^ 西野(1957) pp.65-66
  4. ^ 『大須観音所蔵の国宝 琱玉集 が名古屋に帰ってきます。』名古屋市、2015年11月16日。http://www.city.nagoya.jp/kyoiku/page/0000076184.html 
  5. ^ 西野(1957)

参考文献

  • 山田孝雄「琱玉集(真福寺蔵)(古典保存会複製)」『典籍説稿』西東書房、1934年、314-329頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1902258/175 
  • 西野貞治「琱玉集と敦煌石室の類書 : スタイン蒐集漢文々書中の琱玉集残巻をめぐって」『人文研究』第8巻第7号、1957年、60-69頁。 

関連文献

  • 柳瀬喜代志、矢作武『琱玉集注釈』汲古書院、1985年。 

外部リンク

  • 『大須文庫』大須観音(北野山真福寺寶生院)。http://www.osu-kannon.jp/about/bunko.html 
  • 『琱玉集』。https://archive.org/stream/02097811.cn#page/n2/mode/2up  (archive.org)