ミシェル・マイヨール

Michel Gustave Mayor
ミシェル・ギュスターヴ・マイヨール
ミシェル・マイヨール(2004年)
生誕 (1942-01-12) 1942年1月12日(82歳)
スイスの旗 スイス ローザンヌ
国籍 スイスの旗 スイス
研究機関 ジュネーヴ大学
出身校 ローザンヌ大学
ジュネーヴ大学
論文 "The kinematical properties of stars in the solar vicinity:possible relation with the galactic spiral structure."[1] (1971)
博士課程
指導学生
ディディエ・ケロー
主な業績 太陽系外惑星
影響を
受けた人物
エルンスト・シュテュッケルベルク
主な受賞歴 王立天文学会ゴールドメダル(2015)
ウルフ賞物理学部門(2017)
ノーベル物理学賞(2019)
プロジェクト:人物伝
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2019年
受賞部門:ノーベル物理学賞
受賞理由:太陽型恒星を周回する太陽系外惑星の発見

ミシェル・ギュスターヴ・マイヨール(Michel Gustave Mayor, フランス語発音: [miʃɛl majɔʁ]; 1942年1月12日 - )はスイス天文学者。史上初めて主系列星を公転する太陽系外惑星を発見した功績で[注 1]、2019年のノーベル物理学賞を受賞した[2][3]

経歴

1942年ローザンヌ生まれ[4]。幼少期をエーグルで過ごした後、高校から再びローザンヌに転居し、ローザンヌ大学に進学後は理論物理学を専攻した[5]。1966年に修士課程を修了[1]した後はジュネーヴ大学の博士課程で理論天体物理学を研究し[6]、1971年に同大学のジュネーブ天文台天文学の博士号を取得した[1]。一時的にケンブリッジ大学天文学研究所で研究した他、サバティカル(研究休暇)の期間をチリヨーロッパ南天天文台ハワイ大学システムの天文学研究所で過ごしている[1]

博士課程で銀河の渦状構造を研究する中で恒星の速度を精密に測定する方法が必要となったマイヨールは、相互相関関数によって恒星の速度を測定するという新たな分光法を知った[7]。彼は分光装置の製作に取り掛かり、1977年に完成した分光装置CORAVELオート=プロヴァンス天文台の口径1メートルの望遠鏡に設置した[7]。この分光装置は毎秒300メートルの視線速度の変化を捉えることができ、1989年には恒星HD 114762の周囲を公転する木星質量の11倍の質量を持つ褐色矮星の発見に貢献している[8]

1993年には、感度を向上した高分解能分光計ELODIEをオート=プロヴァンス天文台の口径1.93メートルの望遠鏡に設置した。1994年からこの装置を使って、当時ジュネーヴ大学の大学院生だったディディエ・ケローとともに、褐色矮星巨大惑星の探索のため、太陽に似た142個の恒星の観測を始めた[9]。1994年末、マイヨールとケローは、ペガスス座51番星に木星より小さな惑星が周回することで起こされると考えられる周期的な変動があることに気付いた[9]。特筆すべきことに、この惑星の公転周期はわずか4.2日であり、これは当時想定されていた理論からは考えられないことであった[10]。しかしながら、1995年7月までのデータで惑星の存在に確信を得た2人は、1995年10月6日、太陽と同じ主系列星では史上初めてとなる太陽系外惑星の発見を報告した[11][12][注 1]。この発見が評価され、2019年10月、マイヨールとケローは、現代宇宙論研究者のジェームズ・ピーブルスとともにノーベル物理学賞が授賞されることが発表された[13][3]

受賞歴

注釈

  1. ^ a b 主系列星以外では、1992年にアレクサンデル・ヴォルシュチャンらがミリ秒パルサーPSR 1257+12を公転する惑星を発見している。

出典

  1. ^ a b c d “Michel Mayor”. 惑星協会. 2019年10月9日閲覧。
  2. ^ “2019年のノーベル物理学賞、欧米の研究者ら3氏に 宇宙論の業績で”. AFPBB News (2019年10月8日). 2020年7月30日閲覧。
  3. ^ a b "The Nobel Prize in Physics 2019" (PDF) (Press release). The Nobel Foundation. 8 October 2019. 2019年10月9日閲覧
  4. ^ Mayor 2015, p. 142.
  5. ^ Mayor 2015, pp. 142–144.
  6. ^ Mayor 2015, p. 146.
  7. ^ a b Mayor 2015, p. 148.
  8. ^ Mayor 2015, p. 152.
  9. ^ a b Mayor 2015, p. 156.
  10. ^ Mayor 2015, pp. 156–158.
  11. ^ Marsden, Brian G. (1995-10-25). “51 Pegasi”. International Astronomical Union Circular. Circular No. 6251. http://www.cbat.eps.harvard.edu/iauc/06200/06251.html#Item1. 
  12. ^ Mayor, Michel; Queloz, Didier (1995). “A Jupiter-mass companion to a solar-type star”. Nature 378 (6555): 355-359. doi:10.1038/378355a0. ISSN 0028-0836. 
  13. ^ “2019年ノーベル物理学賞を宇宙物理学の3氏が受賞”. 国立天文台(NAOJ). (2019年10月8日). https://www.nao.ac.jp/news/topics/2019/20191008-nobel-prize.html 2020年2月27日閲覧。 
  14. ^ “The Shaw Laureate in Astronomy 2005”. The Shaw Prize Foundation (2005年6月3日). 2019年10月9日閲覧。
  15. ^ “國武豊喜氏ら3氏に京都賞”. サイエンスポータル. 科学技術振興機構 (2015年6月22日). 2015年7月15日閲覧。

参考文献

  • Mayor, Michel G. (2015年). “太陽系外惑星 人類古来の夢から現代科学の対象へ” (PDF). 稲盛財団. 2019年10月9日閲覧。

呉健雄(1978年) · ジョージ・ウーレンベック/ジュセッペ・オキャリーニ(1979年) · マイケル・フィッシャー/レオ・カダノフ/ケネス・ウィルソン(1980年) · フリーマン・ダイソン/ヘーラルト・トホーフト/ヴィクター・ワイスコフ(1981年) · レオン・レーダーマン/マーチン・パール(1982年) · アーウィン・ハーン/ペーター・ヒルシュ/セオドア・H・メイマン(1983/4年) · Conyers Herring/フィリップ・ノジェール(1984/5年) · ミッチェル・ファイゲンバウム/Albert J. Libchaber(1986年) · ハーバート・フリードマン/ブルーノ・ロッシ/リカルド・ジャコーニ(1987年) · ロジャー・ペンローズ/スティーヴン・ホーキング(1988年) · ピエール=ジル・ド・ジェンヌ/デイヴィッド・J・サウレス(1980年) · Maurice Goldhaber/Valentine L. Telegdi(1991年) · ジョゼフ・テイラー(1992年) · ブノワ・マンデルブロ(1993年) · ヴィタリー・ギンツブルク/南部陽一郎(1994年) · ジョン・ホイーラー(1997年) · ヤキール・アハラノフ/マイケル・ベリー(1998年) · ダニエル・シェヒトマン(1999年) · レイモンド・デイビス/小柴昌俊(2000年) · バートランド・ハルペリン/アンソニー・レゲット(2002/3年) · ロベール・ブルー/フランソワ・アングレール/ピーター・ヒッグス(2004年) · ダニエル・クレップナー(2005年) · アルベール・フェール/ペーター・グリューンベルク(2006/7年) · ジョン・クラウザー/アラン・アスペ/アントン・ツァイリンガー(2010年) · マキシミリアン・ハイダー/ハラルド・ローゼ/クヌート・ウルバン(2011年) · ヤコブ・ベッケンシュタイン(2012年) · ペーター・ツォラー/イグナシオ・シラク(2013年) · ジェームズ・ビョルケン/ロバート・キルシュナー(2015年) · Yoseph Imry(2016年) · ミシェル・マイヨール/ディディエ・ケロー(2017年) · チャールズ・ベネット/ジル・ブラッサール(2018年) · Rafi Bistritzer/Pablo Jarillo-Herrero/アラン・H・マクドナルド(2020年) · ジョルジョ・パリージ(2021年) · アンヌ・リュイリエ/ポール・コーカム/フェレンツ・クラウス(2022年)

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