ニコライ・ネクラーソフ

曖昧さ回避 この項目では、詩人について説明しています。帝政ロシア末期からソビエト連邦時代の政治家については「ニコライ・ネクラーソフ (政治家)」をご覧ください。
N.A.ネクラーソフ

ニコライ・アレクセーヴィチ・ネクラーソフ(ロシア語:Николай Алексеевич Некрасовニカラーイ・アリクスィェーイェヴィチュ・ニクラーサフラテン文字転写の例:Nikolai Alekseevich Nekrasov1821年12月10日ユリウス暦11月28日) - 1878年1月8日)は、帝政ロシア時代の詩人、雑誌編集者である。

生涯

ポジーリ県(現在のウクライナヴィーンヌィツャ州)の落ちぶれた地主貴族の子として生まれ、1832年ヤロスラヴリ市のギムナジージャ(8年制)に入学する。第5年級で中退した年、雑誌『祖国の子』に詩が初めて掲載された。父の意志にそむいて軍隊ではなくペテルブルクで大学文科の聴講生となったため仕送りを絶たれ、家庭教師や文筆の仕事で食いつなぐようになった。1840年に自費出版した初めての詩集『空想とひびき Мечты и звуки』は、そのロマン派の模倣のためにベリンスキーに批判されはしたが、ベリンスキーとの交友を通じて、ロシアの現実の苛酷さに目覚めた。1846年に地主に堕落させられた娘を描き、農奴制への抗議に満ちた『旅にて』という詩を発表し、ベリンスキーやアレクサンドル・ゲルツェンの絶賛を受ける。

1843年以後はさまざまな文集の編集と出版経営を始めて次第に成功し、1847年にパナーエフとともにプーシキンが創刊した雑誌『同時代人 Современик』の発行者となり、革命的民主主義の機関誌としてその地位を確立させた。『同時代人』はチェルヌイシェフスキードブロリューボフなどを編集同人として、ベリンスキーをはじめとした19世紀ロシア文学の巨匠・批評家のほとんどを結集させた観がある。1866年にこの雑誌が発行禁止されたため、1868年『祖国の記録 Отечественные записки』誌の発行権を買収し、死ぬまでその編集・発行にあたり、進歩思想運動の合法的機関とした。その晩年には、ツルゲーネフトルストイなどのリベラル派とゲルツェンのような革命的民主主義者、チェルヌイシェフスキーなどのように社会主義に接近した人々の間で起こった見解の不一致をどうすることもできなくなっていた。

ネクラーソフはロシア思想の変革や矛盾に苦しみ、その詩ではプーシキンにもあった農民たちへの親近感をもっと尖鋭にし、詩人の社会に対する責任感を際だたせた。論争を挑み、現実の不正に抗議をするという形式が多いのもそのためである。ナロードニキにもっとも愛され、ロシア革命家たちの気分を代表する詩人であり、後のマヤコフスキーエフトゥシェンコにさえ影響を及ぼした。社会への批判を詠んだ彼の詩には、アレクサンドル・ボロディン(「あそこに住んでいる奴らは」)、モデスト・ムソルグスキー(「カリストラート」、「イェリョムーシカの子守歌」)などがわずかではあるが曲を付け、現在も歌われている。

代表作品

  • 1862年 「かりそめの騎士 Рыцарь на час
  • 1864年 「農民の子 Крестьянские дети
  • 1861年 「小間物屋 Коробейники」(「行商人」とも)
  • 1863年 「赤鼻のマロース Мороз,Красный
  • 1870年 「おじいさん Дедушка
  • 1873年 「デカブリストの妻 Декабристки」*
  • 1876年 「誰にロシアは住みよいか Кому на Руси жить хорошо?

出典・参考文献

  • 草鹿外吉『ジュニア版 世界の詩人 ロシア・ソビエト』 さ・え・ら書房、1972年。
  • 『だれにロシアは住みよいか(Кому на Руси жить хорошо.)』ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、現代社、1956年
  • 『だれにロシアは住みよいか(Кому на Руси жить хорошо.)』ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、論争社、1993年6月、ISBN 4-8460-0108-3
  • 『赤鼻のマローズ : 叙事詩集(Мороз,Красный нос)』ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、論争社、1994年7月、ISBN 4-8460-0117-2
  • 『恋と詩と最後の唄』 ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、邑書林、1995年3月、ISBN 4-89709-129-2
  • 『だれにロシアは住みよいか(Кому на Руси жить хорошо.)』ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、邑書林、1996年7月、ISBN 4-89709-169-1
  • 『ロシアの女性たち』 ニコライ・ネクラーソフ(Nekrasov,Nikolai Alekseevich (1821-1878) )著、大原恒一訳、邑書林、1997年4月 ISBN 4-89709-227-2

外部リンク

  • Several poems by Nekrasov translated into English (英語)
  • Nikolai Alekseevich Nekrasovの作品 (インターフェイスは英語)- プロジェクト・グーテンベルク (英語)
  • Some texts by Nikolai Nekrasov in the original Russian (ロシア語)
  • ロシヤの婦人(国立国会図書館デジタルコレクション):「デカブリストの妻」の別題
典拠管理データベース ウィキデータを編集
全般
  • FAST
  • ISNI
  • VIAF
国立図書館
  • ノルウェー
  • チリ
  • スペイン
  • フランス
  • BnF data
  • ドイツ
  • イタリア
  • イスラエル
  • フィンランド
  • ベルギー
  • アメリカ
  • スウェーデン
  • ラトビア
  • 日本
  • チェコ
  • オーストラリア
  • ギリシャ
  • 韓国
  • クロアチア
  • オランダ
  • ポーランド
  • バチカン
学術データベース
  • CiNii Books
  • CiNii Research
芸術家
  • MusicBrainz
    • 2
人物
  • ドイッチェ・ビオグラフィー
  • Trove(オーストラリア)
    • 1
その他
  • SNAC
  • IdRef